New Perspectives in Psychoanalysis: Contributions to Karen Horney's Holistic Approach

タイトルの他に｢Contributions to Karen Horney's Holistic Approach｣というサブタイトルの付いている本書の内容はその名の通りHorneyの論文セレクションに彼女の同僚・支持者たちのエッセイを加えて編集したものです(従ってHarold Kelmanは著者ではなく編集者です)。｢Holistic　Approach｣などと言われると高度な内容を期待しがちですが、実際の内容は暗雲立ち込める欧州から｢自由の国｣アメリカ合衆国に移住して子供のようには大はしゃぎしていたHorney(この辺りの嘆かわしい実情は彼女の伝記に詳しいです)そのものを愚直に反映した低俗極まりないものであり、一言でいえば『｢大戦後のアメリカ楽観主義｣×｢大戦前の共産主義思想｣÷2』に過ぎず、内容的には今日を生きる日本人とは何の縁もゆかりもないと言わざるを得ないのです。